驚異! 100%色の付いたアフレコ現場は実在した!!
始まりは1本の電話からだった。
「アフレコ取材をお願いしたいんですけど、今日の夜とか暇ですか?」
ずいぶんと急な依頼である。じつのところまったく暇ではなかったのだが、訳あって断ることのできない我々取材班(って俺ひとりだよ)は、魔界都市新宿に存在する整音スタジオへと飛んだ。
ここであらかじめ説明しておくと、アフレコ取材は現場で結構待たされるのが常である。というのは、アフレコが終了してから取材となる場合が多いからで、そのアフレコがまず大抵の場合予定よりも押すからだ。しかも、今回の取材は集合が22時、スタート予定が22時半というえらく遅い時間帯である。かなり押す可能性を考慮に入れたら、終電に間に合うか心配になる時間だ。(最高で2時間押した経験アリ) 「どうかあんまり押しませんように」と祈るような気持ちで現場に向かう取材班。だが、そこで我々を待ち受けていたのは、予想を遙かに超えた状況だった。
「すいません、1時間前にアフレコ終わっちゃいました……。」
なんと、アフレコは押すどころか集合時間1時間前に終了し、CV陣はすでに撤収済みだったのだ。(えー(;´Д`))
なぜこのような事態が発生したのかといえば、端的には「フィルムが完成しすぎていたから」ということになる。アフレコ段階でのフィルム完成度は、まず「半分以上色がついていたら御の字」というのが昨今の現状です。というより、線画であろうと「絵が動いていればマシ」といえ、どうかすると背景とセリフ出しのタイミングくらいしか表示されなかったりする。ちょっと想像すればわかると思いますが、動いている絵を見ながら演技するのと、ひたすらタイミング表示だけを頼りに演技するのとでは、やりやすさが格段に違います。フィルムの完成度が高ければそれだけ「意図された情感」を込めやすくなりますし、セリフの間合いも計りやすい。つまり、それだけリテイクの頻度も減るわけで、リテイクが少なければアフレコも早く終わるわけです。
しかし、アニメ制作の現状を考えれば、アフレコ段階で動画が仕上がっているなんてのは「ほとんど考えられない」ことです。私も今回を除けばそんな現場に遭遇したことがありません。おそらくは「いつもの感覚」でスケジュールを組んだものの、完成した動画という「あり得ない要素」が入ってきたため、予定時間よりもはるかに早くアフレコが終了するという「前代未聞の出来事」と相成ったのでしょう。(もちろん声優陣の頑張りもあったのでしょうが)
出演者のコメントはテープに録っておいてくれたので、実質的にはそれほど困ったことにはならなかったのですが(ほんとは直接聞いた方がいいんですけどね)、こんなこともあるんだなぁと不思議な気持ちになりました。ちなみに、現場に残っていた取材対応の方からは、次のようなお詫びの言葉を頂きました。
「今後このようなことがないよう、次からは色がつかないようにしますので……」
いや、それはちょっと本末転倒ではないかと(^_^;)


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